
GR DIGITALII
北谷にて
東プレのUBK91が届いた。
これまで使用していた入力機器はNatural wireless ergonomics keyboard 7000である。
どちらの、キーボードが優れているか、あるいはどちらのキーボードが僕にとって望ましいものであるか。
非常に難しい。
Ubk91は非常に素晴らしいキーボードである。
このキーボードを購入するきっかけとなったのは、その打鍵感が万年筆に匹敵するという文章をネットで見つけたからだった。確かに、このやわらかいキータッチは金ペン万年筆のさらさらとしたカキゴコチに通じるものがある。気に入った万年筆を持つと、必要がなくても筆を走らせて、膨大な落書きを手帳に綴りだしてしまう。東プレのキーボードにはそれと同じ効果がある。(この文章ももちろんそういった理由で紡ぎだされているいとも下らないものである。期にせず読み飛ばしていただければありがたい)
このキーボードの魅力は一言で表わすことができる。
「多くのレビューで絶賛されている軽い打鍵感はまさしく麻薬である。」
限りなくソフトなキータッチは、和紙の上に小筆で俳句でもつづっているような心持である。
マイクロソフトのナチュラルキーボードは、これまた昔から固定ファンのあるキーボードの一つである。(ここからはナチュラルキーボードに筆を持ち替えてみる)
このキーボードはマイクロソフトらしい質実剛健とした設計である。
東プレのようにキーの打鍵感に気持ちの良い麻薬作用はない。かといって不満足なこともない。価格なりにごく真っ当なメンブレンキーボードと言えるだろう。しかし、このキーボードの真価は深夜長時間の作業をしたときに気づく。普通のキーボードを長時間使用したときの、手首の痛みや肩の凝りが全くないのだ。
仕事を終えて手を休めるとき、エルゴノミクスデザインということが、これほど人間の生活におおきく寄与するものなのだと暫く感心してしまうのである。ハの字型をしたキーの配列と、手前側が高くなったパームレストの形状は非常に利にかなっている。このキーボードを使用することで、手首、肩、脊椎がとても楽な姿勢に収まってくれるのだ。
これと比較するとubk91の場合には、夢中になってその麻薬的に甘美な打鍵を楽しんだ後には手首、肩に違和感のような疲れが色濃く残っているのである。
では、一体どちらの道具が優れているのか。
そう質問されれば、どちらも優れているとしか答えようが無い。
指先の快適さに極限までこだわり、麻薬のような甘美な打ち心地を得ることの出来る東プレ
肩、脊椎までのトータルでの快適性を突き詰めたマイクロソフトのエルゴノミクス
どちらを手に入れても値段以上の満足感を得ることが出来るだろう。僕自身、最初は気に入った方を手元に残し、次点のものはオークションに出品しようと考えていた。しかし、どちらもまだ手元に残っているのだ。
「よく出来た道具は、行為自体を目的化する。」

昔撮った写真を見返していた。
ここは、一体どこだったのだろう。
ベトナム、確か山羊を食べさせる店を探して彷徨っていた。
1時間かけて歩き回るものの、すでに店は畳まれていた。
その帰りにふとよった店で撮った写真。
ベトナムの薄いビールを氷を入れたグラスに注ぎ冷やす。
このことにより、ビールは更に薄くなり、水分を失った体に気持ちよく染み渡っていく。
「現像したらかならずこの店に送ってこいよ。」
この男は確かそう言っていた。
長い時間送られることなく、ハードディスクの中にデータとして収まっている。







